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独断と偏見のディスク批評
ショスタコーヴィチ 交響曲第4番ハ短調 Op.43(1936)
by yevgeny

★ … 輸入盤のみ(または国内盤廃盤)/☆ … 国内盤あり

独断と偏見のワンポイント:この巨大な世界のどこかをピックアップすることなど、言語道断。すべてをトータルして挑むべし。(とはいえ、やっぱ第三楽章のトロンボーンソロは白眉だなあ)

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★ キリル・コンドラシン/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
1963録音 [BMG MELODIYA] 74321 19840 2(輸・全集中の一枚)
 この作品を作曲後四半世紀を経てようやく初演したコンビ。晩年の作曲家の信頼をかちえたことがうなずける名盤。必聴・必携・持たぬは恥!合奏の精度としてはそれほど高いわけではないが、この意気込みは30年以上経った今でも色褪せない。モノラルっぽいのがやや悔やまれるが、それもまたよし。
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★ ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエト文化省交響楽団
1984録音 [BMG MELODIYA] 74321 49611 2(輸・全集分売)
 凄絶の一言につきよう。音質・テンポいずれも聞き手を打ちのめす力に溢れている。コンドラシン盤とは全く違う解釈だが、スヴェトラ大先生の録音がない今、露西亜オケの演奏でのこの作品をデジタル録音で聴けるのはまさに耳福。当然、金管・打楽器の咆哮をいやというほど堪能できるので、ロシアン・ブラスが苦手な人が聴くのは自殺行為である。
 なお、再発されたこの2枚組みでは、2・3番と劇音楽『ハムレット』組曲に加えて、珍しい『哀れなコロンブス』が併録。これだけでも買いだが、特に2番冒頭のBDの音圧には感涙を禁じ得ない。
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★ ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエト文化省交響楽団
1985録音 [PRAGA] PR 250 090(輸)
 ライヴ録音だが、このレーベル自体、怪しい(データの正確性が疑わしい)。全体に高音域がキンキンする録音で、やや耳に痛い。演奏内容はMELODIYA盤とほぼ変わらずで、音楽に血を滾らせたい方にぴったり(?)。シスの暗黒卿にも劣らないダークフォースに満ちている。併録に『スカルラッティによる2つの小品』。これは思わず笑みがこぼれる素敵な小品。
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★ ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ウィーン・フィルハーモニー
1978録音 [CINCIN] CCCD 1021(輸)
 無茶苦茶アヤシイCD。海賊盤のかがみのような録音。音楽の内容以外の部分で非常に精神力を要求されるディスク。本当にWPhなのか、(レーベルに対する信用度の面で)ちょっと怪しいが、本当ならばWPh、おそるべし。とはいえ、ハチャトゥリアンの自演盤の例もあるように、このオケは棒によって凶悪なまでの獰猛さを見せてくれることも事実。でも世間じゃ、こういうWPhは受け入れられそうにないよな....
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★ ネーメ・ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1989録音 [CHANDOS] CHAN 8640(輸)
 大穴だった。オケがよく鳴っていて、録音も非常によい。作品の巨大さがひしひしと伝わってくる。散漫さを感じさせず、一気に聴かせる推進力がさすが。ラットル、ハイティンクと並んで“一般向けの”ファーストチョイスとしてもよいかも。しかしまあ、イギリス人も人間じゃなくサイボーグだったんだなあ....。
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☆ ベルナルト・ハイティンク/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1981録音 [LONDON(J)] POCL9255〜9266(全集)※分売あり
 一番、オーソドックスといえるか?全集の中でも最も初期の録音。無理のないテンポ、バランス。ロシアオケを聴きなれない人には最も入門として最適といえよう。“はじめての4番”として万人にお薦めできる一枚。全体的にやや大味に感じられなくもないが、これを聴いて物足りないと思う人はもはや後戻りは....ちなみに、この全集のプロデューサーにはアンドリュー・コーナルが名を列ねている。
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★ アンドレ・プレヴィン/シカゴ交響楽団
1977録音 [EMI] 5 72658 2(輸)
 録音・演奏ともによし。60年代のオーマンディ盤と並び、貴重な録音である。併録の5番と並んで、非常に内容の充実したよい演奏だ。プレヴィンのショスタコーヴィチ演奏はなかなか侮れない。ちなみに同時期に録音されている10・13番も凄い演奏。
 ここで紹介した盤は、EMIの名録音を集めたFORTEという2枚組み廉価版シリーズでのリリースで、ショスタコーヴィチ5番と、LSOとのブリテンの『鎮魂交響曲』・『ピーター・グライムズ』の「4つの海の間奏曲」「パッサカリア」が併録。これは文句無しの超お買い得&名演ばかり!
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☆ サイモン・ラットル/バーミンガム市交響楽団
1994録音 [EMI] 5 55476 2(輸)
 躍進めざましいラットルの放つ、評価の高い名盤。オケもよくついていっている。ドライヴ感が素晴らしい。CBSOは個人的に非常に好きなサウンドのオケだが、是非とも残りの交響曲も入れて欲しいものだ。併録にブリテンの『ロシアの葬送』。これはなかなかショスタコ・ファンのハートをくすぐるカップリングで、座布団10枚。
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☆ ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ/ナショナル交響楽団
1992録音 [TELDEC] 0630-17046-2(輸・全集)※分売あり
 ナショナル響が好演。他米メジャーに比べてやや暗いサウンドがマッチしている。全集の他の演奏と同様に、やや考えすぎな点もあるのは否めないが、この巨大な作品をじっくりと聴かせる。重厚に過ぎるきらいもあるかも。第三楽章のトロンボーン・ソロのダイナミクスの付け方がききもの(こうでなくっちゃ!)。
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★ ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団
1964録音 [CBS] SBK53261(輸)
 このコンビにこんな録音があった(しかも初演直後)とは!往時の華麗なフィラデルフィアサウンドで、比較的華やかな印象を受ける。もう少しどろどろとしたものを持っている作品だと思うが、あまり暗い側面を感じさせない。しかし、ショスタコーヴィチの交響曲の米初演を多数手がけた同オケならではの覇気が感じられる。ところどころで譜面に手をいれている。もしかしたら第一テューバはバストロンボーンでやっている?(あきらかにバストロでやっているのがわかる個所あり。)併録の10番も大穴。タワーレコード新宿店によれば希代の名演とな。
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★ ウラジミール・アシュケナージ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
1989録音 [DECCA] 425 693-2(輸)
 オケの力量にやや物足りなさを感じる場面がなくもないが、悪くはない。棒を持つと野獣と化すアシュケナージ、なかなか暴れてくれる。個々の部分では刺激的なテンポやバランスを聴かせてくれるが、全体としてはちょっと散漫か?トロンボーン・ソロはフレーズ感が今一つ。今は廃盤となってしまっているため入手は困難で、コレクターズアイテムに近い。タコ様の“交響曲全集の全集”を狙う当方としては、アシュケナージには一刻も早く全集を完成していただきたい。ちなみに、このシリーズのプロデューサーはハイティンクの全集と同じくアンドリュー・コーナル。DECCAのショスタコ担当だったのか?!
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☆ 芥川 也寸志/新交響楽団
1986録音 [FONTEC] FOCD3247
 作曲後、実に50年を経て実現した日本初演のライヴ録音(当時わしは大学在学中)。都合で聴きに行けなかったのが悔やまれ。いやー、やっぱり、アマチュアオケでここまでやるのは並大抵のことではない。さすが新響!録音バランスのせいか、低弦のボリューム感にやや乏しい気もしないでもないが、第一楽章の弦楽器のフーガとかの木目細かさには恐れ入る。ダスビダーニャも負けてはおれん!
 併録の中国作品2曲が、とても微笑ましい。こういうの、結構好きなんだよなぁ。
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☆ エリアフ・インバル/ウィーン交響楽団
1992録音 [DENON] COCO-75330
 こ、こいつは大穴だった!全体的には、それほどとは思わないのだが、第三楽章のトロンボーン・ソロを聴いてぶっ飛んだ!!このソロは巧いとか下手とかを超越している。無茶苦茶、楽しんで吹いているのが目に浮かぶ。「おらー、これでどうじゃ〜っ!!」という感じ。レスピーギの『祭』は、ワインに酔っ払ったローマ人だが、こちらはキンキンに冷やしたウォッカをがぶ飲みしておお暴れしてる。トロンボーン吹きにとっては一聴の価値あり、と薦められたのだが、正鵠を射ている。このコンビは7番がイマイチ(オケが棒についていけてないところがある)だったので、どうでもいいと思っていたのだが、確かにばらつきはあるものの、この全集、侮れない。貸していただいた団長、感謝です!
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映像

● ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー
1997録画 (PRIVATE ARCHIVE)
 BSで放送された定期公演の生中継。全体ではオケの底力を見せつける力強い演奏。グロート(Tp)は「ちょっと違う?」気がするが、弦楽器の厚みや、トゥルコヴィッチ(Fg)やパユ(Fl)、ゲースリング(Trb)らのソロはさすが。特に弦セクションのマッシヴな威力は圧巻。ハイティンクの解釈も無理なところはないが、一言でいうなら「オケの巧さを堪能する」演奏といえよう。とはいえ、あまり慣れた曲でないのは、随所での管楽器の「やってもうた!」でわかる。しかも、2楽章でのトロンボーン(バストロのボイマーが落ちたのにびびって、その後のオットが数え間違えている)とか、3楽章でのピッコロとか、落ちている瞬間が、どアップで映っているのが笑える。生中継ならではのハプニングだ。
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未聴(未入手)

★ ルドルフ・バルシャイ/ECユース管弦楽団
19??録音 [???] ????(輸)
 バルシャイは7番(莫斯科フィルとユンゲ・ドイチェの合同)が結構よかったので、期待できる組み合わせに思う。
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★ ユーリ・シモノフ/ベルギー放送交響楽団
19??録音 [???] ????(輸)
 HMV店頭の紹介カードによれば、かなりイケてるらしい。
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★ チョン・ミョンフン/フィラデルフィア管弦楽団
19??録音 [DG] ????
 録音されたはずなのだが、未だにリリースされない....期待は大きいのだが。DG何やってんだ!
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☆ ラディスラフ・スロヴァーク/チェコスロバキア放送ブラティスラヴァ交響楽団
19??録音 [NAXOS] 8.550625
 聴いたものではことごとくハズしてくれるコンビなので、\1000以下といえども買う気まったくなし
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あったらいいな

◇ スヴェトラーノフ  やはりスヴェトラ大先生の4番って、聴いてみたいなあ。きっと凄いことになりそうだなあ。でも、オケはやっぱり露西亜オケじゃないとなぁ。
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◇ バーンスタイン  シカゴ響との7番から推察するに、録音されていれば、きっと第三楽章最後のクライマックスなんて感涙に咽んだだろう(NYPとのマーラー復活(DG)を聴いたときは感動のあまり泣いた)。なんで4番を入れなかったか、返すがえすも悔やまれる。レニー、生き返ってくれ!!(ちなみに弟子を標榜するS渡はどーでもいいが)
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◇ ヤンソンス  はやく全集を完成して欲しい一人。オケは是非ともサンクトペテルブルグで(当然、対向配置)。
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◇ 初稿のレクチャーコンサート(ロジェストヴェンスキー?)  旧国立出版の全集版(全42巻)所収の第2巻冒頭に写真掲載されている「初稿(第一楽章は劈頭、アダージョで始まる!)」のライヴ音源が存在するそうだが、某CDショップでの店員の立ち話に聞き耳をたてたところ、おそらく市販される可能性は殆どないらしい、というのが悔やまれる。
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